サマリウムは中程度の存在度を持つ中重希土類であり、その元素としての働きは主に合金を通じて発揮される。最もよく知られた製品はサマリウム・コバルト永久磁石である。SmCo 磁石(SmCo5 と Sm2Co17)は NdFeB よりエネルギー積は低いものの、約 300 °C まで安定で、耐酸化性・耐食性に優れ、温度係数が小さい。そのため航空宇宙用センサー、ミサイル誘導ジャイロ、軍用進行波管、高速モーター、坑井内石油機器など、温度と信頼性の要求が厳しい用途に用いられる。核分野ではサマリウム 149 が強い中性子毒物であり、きわめて高い中性子吸収能を持つことから、原子炉の制御材料や燃焼度監視に使われる。放射性のサマリウム 153 は、骨転移を伴うがん患者の疼痛緩和にも用いられる。このほかサマリウムは炭素アーク灯の電極、セラミックコンデンサー、特定の水素化触媒にも使われ、少量ながらかけがえのない用途である。
Sm2O3(酸化サマリウム(III))は、サマリウムの主要な酸化物である。淡黄白色の粉末で、サマリウム金属、SmCo 磁石、各種サマリウム化合物を製造するための出発点となる。それ自体でも赤外線吸収光学ガラスやセラミックコンデンサーの誘電体の製造に用いられ、触媒や化学添加剤としても働く。SmCo5 はサマリウム・コバルト系の第一代金属間化合物であり、高いキュリー温度と大きな保磁力を持つため、航空宇宙・防衛分野で使われる永久磁石の中心グレードである。第二代の Sm2Co17 はエネルギー積と最高使用温度をさらに高める。SmCl3(三塩化サマリウム)は抽出分離フローの中間生成物で、サマリウム金属の電解製造や他のサマリウム化合物の合成に用いられ、それ自体が最終製品に入ることはない。